【2018年反省会(9)】アルバイトや派遣の求人に40社以上応募して2社しか受からなった

【2018年反省会(9)】アルバイトや派遣の求人に40社以上応募して2社しか受からなった
 

【2018年反省会】記事一覧(全26回)

障害者雇用に特化した転職エージェントやハローワークの担当者の話に従えば、週5日フルタイムでアルバイトができるようになってから障害者雇用の求人を探す必要があった。だが、この年は入院と自宅静養を1か月ずつしており、またフリーランスとして様々な仕事を引き受けながら各所を転々とするスタイルに慣れ切っていたため、いきなりかつての正社員時代のように、一企業にフルタイムで勤めることが可能なのか自信がなかった。そこで、まずは週3日のアルバイトから始めて、徐々に週5日へと増やすことを目指した。

問題は何のアルバイトをするかであった。まず、接客やコールセンターの仕事は真っ先に候補から外れた。私は日常生活の些細なことでイライラする。昔の記事を読み返すと、もう何年も前からそのイライラを回避しようと試みているのに、未だに成功していないことに気づく。電車で大声で話す人、イヤホンから音漏れがしている人、スマホのスクリーンショットをパシャパシャと撮る人、足を組んで座る人、泣いている赤ちゃんをいつまでも泣き止ませようとしない人、他人が降りる前に乗り込もうとする人、ホームを歩くのが遅い人、カフェで電話や会議をする人(どちらも営業秘密がダダ漏れだと思う)、飲食店で店員にため口で注文する人、コンビニやスーパーでスマホの音楽を聴きながらレジの店員とやり取りする人、街中でマイクつきイヤホンで通話する人(私には大きな独り言にしか聞こえない)など、私にとってこの世界は地雷が多い。

普通の人も大なり小なりこうした地雷を持っているだろうが、地雷を踏んだ時にどう感じるのかまでは私には想像できない。私の場合は、「腹が立つなぁ」では収まりがつかず、「てめぇぶっ殺すぞこの野郎」と心の中でリフレインする。歩くのが遅い人は後ろから蹴飛ばしてやろうかと思うこともある(私のような人間が自動車を運転したら、ほぼ間違いなくあおり運転をするだろう)。一人で勝手にカッとなって、その後しばらく頭痛に悩まされる。こんな具合なので、失礼な顧客や変なクレームが来たら、易刺激性が顔を出して一発でクビになるに違いない。私が曲がりなりにも経営コンサルティングの仕事を続けることができたのは、無茶苦茶な顧客に当たる可能性がBtoCビジネスに比べるとはるかに低いからである。

私は車の運転ができないし、前述のようにそもそも車を運転してはいけない人間である。また、長年のデスクワークの影響で腰痛があり、製造ラインや軽作業といった体力勝負の仕事もできない。医療・保育・介護関連の資格を取っていないため、これらの仕事も不可能である。私が持っていたシステムエンジニアやWebデザインのスキルはもう古すぎて使い物にならない。営業もそれほど得意ではない。そうすると、残るのは一般事務になる。デスクワークが長い私にできるのはこれぐらいしかない。それに、将来的に人事・総務の障害者雇用を目指すのであれば、一般事務のアルバイト経験が最も役に立つのではないかとも考えた。

私は一応人事分野のコンサルティングが専門であると宣言しているものの、メインターゲットは正社員であり、恥ずかしながら非正規雇用の実情をほとんど把握していなかった。だから、今回自分が非正規雇用に応募する立場になって初めて解ったことが多々ある。

私が探していたのは、時給1,200円程度、1日8時間、週3日から始められる仕事であった。ひとえに一般事務と言っても、その内容は様々である。求人サイトやアプリを見ながら、明らかに女性を対象としていることが解るものは外し、自分が得意とするExcelやPowerpointのスキルが求められている仕事を選んで応募したつもりである。ところが、応募しても応募しても、ほとんど書類選考を通過することができなかった。アプリの中には、氏名、性別、生年月日、メールアドレスだけで簡単に応募できるものもある。その基本情報を送っただけで不採用通知が届いた時には驚いた。どう考えても性別か年齢だけではじかれていた。

やっと面接にこぎつけたある企業の担当者からは、「時給1,200円の仕事なんてはっきり言って雑用レベルだから、塾講師や家庭教師をやった方がいいのではないか?」と言われたこともある。現在時給1,200円で仕事をしている方々には、この担当者に代わってお詫びする。塾講師や家庭教師は、見かけ上の時給は高いものの、授業時間以外にもやらなければならない仕事がたくさんあり、実際の時給はかなり低いことを私は大学生時代に経験していた(大学生時代の塾講師の仕事については、後の記事で触れる機会があると思う)。

時給1,200円前後の一般事務は人気が高く、求人が出ていても実は既に採用者が決まっていることも多いらしい。そのために、後出しの私の書類が選考を通過しなかったケースもあるだろう(もちろん、落ちた要因は他にもたくさん考えられる)。ただ、中には奇妙な企業もあった。一般事務を5人募集していた企業で、「そんなに難しくない仕事」なのに、時給1,500円と書かれていた。この条件ならば一瞬で枠が埋まるだろうと思いつつ、ダメもとで応募した。すると、面接まで進むことができた。面接では、「そんなに難しくない仕事」の適性を見るためと言われて、なぜか難易度の高いIQテストを受けた。結果は不採用であった。不思議なのは、私が応募したのは8月なのに、7月にも5人募集しており、9月にもまた5人募集していたことだった。

派遣会社も利用した。厳密に言うと、いつの間にか派遣会社を利用していた。きっかけは、アルバイトの求人サイトで「単純データ入力で時給1,500円」という求人を発見したことである。Webで応募した後、面接の案内が来たのでその企業に出向いたところ、1枚のシートを渡された。職歴を簡単に記入し、保有スキルの一覧のうち該当するものにチェックを入れていくというものだった。この時初めて、アルバイトの募集ではなく派遣会社への登録だと気づいた。

シートへの記入が終わると、担当者がやって来て、「この求人はもう募集が終了している」と告げられた。代わりに、時給がほぼ同じで難易度がやや高い事務の仕事を紹介された。私はまだ同じ事務の仕事を紹介してもらったからよかったものの、たまたま私の隣で同じく事務を希望していた大学生と思しき人は、やはり同じように「この求人はもう募集が終了している」と告げられた後、全く毛色が違うコールセンターの仕事を紹介されたようであった。

冷静に考えれば、単純データの入力だけで時給が1,500円というのは高い。100ぐらいの業務を覚えなければならないコンビニ定員のアルバイトが最低賃金ギリギリであるのに比べて、話が美味しすぎる。早く仕事を見つけなければと焦っていた私は、その時紹介された別の仕事をやりたいと希望して、派遣先会社の担当者との「顔合わせ」に臨んだ(建前上、派遣先会社は派遣元会社が連れてきた候補者を「面接」してはならない)。顔合わせの際に、派遣先会社の担当者が希望していた勤務条件と、派遣元会社の営業担当者が認識していた派遣先会社の希望条件にミスマッチがあったこともあり、私は不採用になった。

その後、同じ求人サイトで、同じ派遣会社が出している同じようなデータ入力事務の求人にいくつか応募してみた。しかし、派遣会社からは「その求人はもう募集が終了している」としか返ってこなかった。たくさん応募したら1つぐらい当たるだろうと一気に応募したところ、連絡が途絶えた。今振り返ると、この手の”美味しい”求人は、派遣会社が登録者を集めるための「カラ求人」だったのではないかと思う。不動産業界に「おとり物件」があるのと同じである。おとり物件の存在は知っていたのに、カラ求人を見抜けなかった当時の私は愚かである。

求人サイトで、契約形態が「アルバイト・パート」に分類された「軽作業、シール貼り、仕分け、配送、簡単データ入力、イベント」などの仕事で、「勤務地多数」と書かれているものは、グレーである可能性が高いと感じる。求人を出している企業のHPを調べると、事業内容が「人材サービス業」となっていたり、「人材をお探しの企業様へ」といったコーナーがあったりする。もはや実質的に派遣会社である。派遣事業の許可・届出がある企業を検索できる厚生労働省のサイトで社名がヒットすればまだましだが、ヒットしなければかなり危ない。

中には、顧客企業から工場などの業務を請け負っており、請負業務を担当するアルバイトを募集しているのだと主張する企業もあるだろう。だが、例えば採用したアルバイトが1人で工場に勤務し、顧客企業からの指揮命令に従って仕事をしていれば、偽装派遣にあたり違法である。働いている本人は、アルバイトであろうと派遣社員であろうとあまり変わりはないと感じるかもしれない。しかし、仕事の形態自体は社会的にはアウトである。

大手の派遣会社にも4社ほど登録した。どの派遣会社も、Web上でかなり細かく保有スキルを登録できるようになっていた。ところが、その後担当者との面談があるところもあれば、ないところもあった。はっきり言って、Web登録の情報などいくらでも偽装できる。アルバイトでも、履歴書の内容を鵜吞みにせずに、面接で応募者の過去の経験を詳しく聞いて、自社の業務にフィットするかを確かめる。企業が派遣会社を利用する理由の1つは、こうした面接の手間を省くためである(それもあって、前述の通り派遣先企業は面接を行うことができない)。

だとすれば、派遣会社が面談を通じて応募者の職務経験を把握しながらWeb登録情報の裏づけを取り、適切な人材を見極めなければならないはずだ。一般に、派遣社員の時給はアルバイトよりも高いのだから、派遣会社はなおさら慎重に見極めを行う必要がある。その過程をすっ飛ばして、いきなり登録者を派遣先会社に紹介する派遣元会社のビジネスモデルは、大手であればなおさら一体どうなっているのかと不思議であった。

企業が派遣会社を利用する理由はいくつかある。事実上、面接を代行してもらうのも1つである。とりわけ、いきなり1人欠員が出た場合に、いちいち自社で求人広告を出して複数人を面接するよりも、派遣会社から1人紹介してもらった方がはるかに速い。また、派遣先会社は社会保険料を負担する必要もないし、社会保険に関する細々とした業務も省略できる。ただし、派遣会社がしばしばうたい文句にしている「即戦力を活用できる」という点については、個人的には疑問である。もちろん、専門スキルを持っていて、高い時給で働いている派遣社員もいるのは間違いない。一方で、「未経験歓迎」の求人も腐るほど出ている。

大前提として、派遣社員には3年ルールというものがあり、基本的に派遣先会社の同じ部署で3年を超えて継続勤務することができない。専門スキルが必要なのに、トレーニングは派遣会社に肩代わりしてもらうことが可能で、正社員よりも安い給料で済み、3年以内で人員が入れ替わっても問題ないという、あまりにも都合のよい仕事が一般企業にどれほどあるかを考えれば、派遣社員=即戦力という派遣会社の主張はかなり無理があるように見える。

私が派遣会社を使って実感したのは、企業が派遣会社を利用する最大の理由の1つは、能力以外の人材要件を細かく指定できるからではないかということである。アルバイトの場合は、求人広告で募集者の年齢や性別を限定することはまず不可能である。一方、企業は派遣会社に対して自由にオーダーを出すことができる。女性がほしい、25歳前後がいい、極言すれば美人にしてくれと注文してもよい。登録者と面談をしない派遣会社でも、Web登録の際に顔写真つきの本人確認書類を要求するから、登録者が美人かどうかはある程度把握している。少なくとも、保有スキルが本物か否かを確認するよりは容易である。そのことを知っている企業は、アルバイトよりお金がかかるとしても、派遣会社を使いたがるのではないかと推測する。

派遣会社については、単なる恨み節を書いているかのようになってしまった。結局、アルバイトと派遣会社の求人に40社以上応募したのに、面接や顔合わせまで進めたのがわずか6社、そのうち採用通知をいただいたのはたったの2社であった。ある求人サイトには、アルバイトに採用される人は平均で3社に応募していると書かれていた。私は平均をはるかに下回っていた。最初は簡単に見つかるだろうと高を括っていたのだが、あまりにも不採用が続いたのでひどく落ち込んだ。せっかく7月に元気になったのに、9月の頭には完全に抑うつ状態がぶり返していた。ようやく9月に入ってから採用通知をいただいた2社のうち、条件がよい方を選んだ。

実は、私が選んだ企業の業界は、私が今まで仕事をしてきた中で、絶対に働かない方がよいと決めていた業界であった。その業界で働いた時期に、どの企業も現場社員の熱意と馬力だけで動いており、全く経営ができていないと感じたからだ。しかし、その時はやっと仕事が見つかったという安堵感でいっぱいになっていて、昔のことをすっかり忘れていた。

私が就いたのは、時給1,200円、1日8時間、週3日の一般事務の仕事であった。本当は心身ともにボロボロで、とても仕事ができる状態ではなかった。抑うつ状態になってもめったに泣かない私が、9月に入ってからは毎晩のように泣いていた。それでも、この仕事をしなければ障害者雇用にたどり着けないと思い、無理をして出勤した。案の定、最初の1週間で限界に達して辞めた。本当は、辞める1か月以上前に退職を申し出なければならないところを、たった3日の勤務で投げ出してしまった。だから、この会社には本当に迷惑をかけたと思う。

以前の記事で、私はフリーランスの仕事のやり方に慣れてしまったせいか、病気の影響なのかは定かではないが、こまめに休憩を取りながら仕事や場所を切り変えないと集中力が持たないと書いた。それなのに、いきなり1日8時間オフィスにこもってずっと事務の仕事をするのは、端から無理があった。さらに冒頭で、私には日常生活における地雷が多いことにも触れた。私にとっての地雷とは、端的に言えば「音」である。私が採用されたのは大企業で、ワンフロアに100人以上の社員がおり、四六時中騒がしかった。その環境も耐えがたかった。

ただ、少しだけ言い訳をさせてほしい。私が採用された企業も、わずか3日で、やはり現場の熱意と馬力によって成り立っていると解った。事務フローが未整理で、非常に効率が悪かった。1つ例を挙げると、顧客から届く手書きの書類をPDF化してサーバに保存するという仕事があった。コピー機でスキャンすれば終わりなのに、先輩社員からは、「そのままスキャンすると色が薄くなるため、まずは何回か濃くコピーして、その紙をスキャンしてほしい」と言われた。さらに、「手書きの文字が用紙いっぱいに書かれていると、PDF化した時に端が切れることがあるので、その場合は縮小コピーをしたものをスキャンするように」とも指示を受けた。

顧客から届く書類はいつも10枚ほどあるから、それをいちいちこの方法でPDF化しなければならない。一顧客の書類をスキャンするだけで2時間かかることもあった。もっと性能のいいコピー機を導入すればいいのにと感じた。それに、PDF化すると端が切れるならば、顧客に書類のフォーマットを渡す前に枠を書いて、「この枠内に記述してください」とお願いすれば済むのではないかとも思った。3日間勤務しただけで、業務改善ポイントが15個ほど見つかった。

せっかくの仕事を1週間で辞めてしまった時点で、自分の職業人生は詰んだと感じた。この年はまともに収入があったのが2月までであり、資金もほとんど底をついていた。実家にいる父親からは「もう帰って来い」と言われ、その言葉に乗ることにした。9月中旬のことであった。そこから急いで賃貸の家を引き払った。約半月で大半の家財道具を処分した。2,000冊ほどあった書籍は、付箋や書き込みだらけで売ることができず、資源回収に回した。子どもの頃から集めていた大好きなMr.ChildrenのCDやDVDなども全て売却した。ローソンとHTBオンラインでしか流通していない水曜どうでしょうのDVDも一緒に買い取ってもらったのだが、入金時の明細をはっきりと見ていないため、値段がついたのかは不明である。

4月に豊島区に引っ越してきた時は、私の荷物が段ボール箱で60箱以上あったのに、今回の荷物は段ボール箱で5箱に収まった。入れたのは最低限の衣類、ドラッカーや中国古典などどうしても手元に残しておきたい100冊弱の書籍、昔からつけていたメモ帳や日記、パソコンその他の貴重品ぐらいである。段ボール箱は宅急便で実家に送った。

中小企業診断士の多くは、各都道府県に設置されている協会に属している。東京協会だけは所属人数が多いため、協会内がエリアに応じてさらに6支部に分かれている。私は東京協会の城北支部に所属し、役職も持っていた。また、城北支部とは別に、城北支部の中小企業診断士が多数参加している3団体にも加入していた。城北支部を退部し(地元の協会に異動)、3団体からも脱退した。城北支部内の私の役職に関しては、任期途中で別の方に交代するという異例の措置を取ってもらった。東京で私が持っていたほとんど全てを手放した。本当に喪失感が大きかった。心に穴が開くというのはこういうことなのだと理解した。

関係者の皆様には今生の別れのような挨拶文を送った。色々な方から、地元での新しい人生を応援するといった励ましの言葉をいただいた。地元の中小企業診断士を紹介してくださった人もいた。約半月の賃貸契約を残して足早に東京を後にしたのは9月末のことである。ここからさらなる苦境が待ち受けているとは、下りの新幹線の中で知る由もなかった。

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